映画観賞感想文:『飛べ!ダコタ』を観終えて、…

20131009a
<添付画像>:広島中区『八丁座』ロビーにて、、
(撮影月日)平成25年10月上旬

 鉛色の空に覆われた真冬の日本海は、漆黒にして荒々しく、海岸に打ち上げられる荒波の、雄々しく猛々しい様に、鑑賞者は先ず圧倒される。
 映像の中で繰り返し表現されている『重苦しくも美しい』モノトーンな『空と海』は、冬の『佐渡島の象徴』として『神々しさ』さえ覚える。
 凶暴な寒風にあおられ、演技者の吐息は消えることなく白いまま膨張し、空中に舞い上がるから驚いた。俳優のみならずロケ隊全員が白い息を吐き、また吐き、寒さを堪えて乗り越えて『飛べ!ダコタ』を創られたであろう、ロケの厳しさが窺い知れる。
 寒くて厳しい自然環境の中、温かく人情深い佐渡島の人々の『佐渡のお心』と『伝統的な魂』に触れる。海・空・海岸の佇まいのみならず、海辺の佐渡島に住まう村々や村人の心豊かな有態をしっかりと映像表現されていて、鑑賞者には佐渡人の精神的豊かさが手に取るように理解できる。
 はて、
 一体全体何が、如何したか?と、
 いやなに、油谷誠志監督はじめ『飛べ!ダコタ』の製作に関わった人たちの、すなわち映画関係者と佐渡島地元住民たちの心意気に最大の敬意を表します。

 映画の中、(消防署長役ベンガルの)セリフに表現されていた如く、「佐渡は歴史的に多くの人を受け入れてきた、多くの罪人も、歴史的に有名な天皇陛下も、佐渡島に受け入れて、自分たちと一緒に暮らしてきた。だから、この村の海岸に不時着したダコタ乗組員(英国人)も分け隔てなく、彼らを歓迎しようではないか!」に、代表される。このセリフを聴きながら、不肖トーマス青木は背骨に電流が走りつつ即刻目頭が熱くなった次第、ベンガル氏の名セリフに名演技です。
 少なからず、出演男女俳優の出来栄えから、映画の良し悪しあれこれ云々が決まると思います。やはりこの作品を背負って立つ役者は、後にも先にも村長役の柄本昭であるか。加えて、先のベンガルはもとより、校長先生役の蛍雪次郎もいいし、綾田俊樹も恍けていて、好い。私の大好きな女優比嘉愛未も、主演で頑張っている。が、ミスキャストであろう。なぜならば若干色黒で濃顔の女性は(個人的な判断で)北の離島佐渡島の女性に似つかわしくないと考えるからだ。ま、私が監督なら北国出身の色白日本風美人を選ぶでしょう。

 出演者の云々はさておいて、映画製作の根幹に対して少し批判をしておきたい。

 ひとつ、
 この映画の中、半端に(俳優の口を借りて)『反戦運動』的、『平和主義』的、我国日本の『歴史歪曲』をやりつつ、当時の『軍国主義批判と昭和の指導者批判』をやっている。否、やらせている。村の主婦数人がもっこ担いで、ダコタ離陸用の滑走路造成土木作業をやりながら、村長柄本と立ち話する。「何故に、こんなに良い人ばかりの英国人たちと戦争したのか?」はたまた「鬼畜米英といって日本国民を戦争に駆り立てた(日本の)指導者が悪いのでは?良い人が英米人で日本人の指導者は悪いのではないか?」等々、先の東京裁判結果の戦犯(昭和天皇及びA級戦犯を指すと、私は判断)を悪し様にいうセリフのやり取りがある。が敢えてこの映画のこの場面に取り入れる必要があるのだろうか。
 無い。
 終戦半年も経たない当時の日本で、農村家庭の主婦が立ち話で『この手合い』(反戦・戦争反対・当時の軍部批判等々)の会話をする由もなく、映画作品の中で不自然な挿入セリフだ。と判断します。
わざわざ農村主婦に言わせなくても、堂々且つ淡々と、国境を越え人種を超え、偏見無く『ダコタ乗組員』(英国人)救出にあたっている佐渡島の人々を、映像で描くだけで十分です。セリフで云わせなくてもいいのであって、その方が、鑑賞者には大きく受け止めることが出来ます。
 かくして、神々しい佐渡の厳寒風景も、心温かく超国家的精神を備えられた佐渡人の魂も全て、台無しになってしまいます。
 ふたつ、
 ダコタ機の不時着した原因や、再離陸できるよう、飛行機の修理にあたるメカニックな世界に焦点を当てて欲しかった。ノンフィクションが故に、時代考証や機密事項的不明瞭な点が多々あったはず。日英合作映画ならばしかし、たとえ推測であっても英国側の認可を得て、せめて20分間、故障の原因や修理の技術的な場面を描いてほしかった。実は大いに期待していったのです。戦後間もない時、あの佐渡島で、どうやって航空機を修理したのか?ひん曲がったプロペラを、如何にして元に戻したか?佐渡島の鍛冶屋が叩き直したか。新潟から専門技師が渡って来て直したか?エンジントラブルで不時着したなら、エンジンの何処が悪かったのか?部品交換しなくて済んだのか?さらには、滑走路造成土木工事を、その難しさを、もっと詳しく説明して欲しかった。等々、、、
 〆て、
 たいへん良い映画でした。
 佐渡の大自然、美しかった。夏の佐渡も(今度は自分自身現地佐渡に行って数日間泊まって)見てみたい。
 佐渡の伝統と歴史を想像しながら、佐渡人の心の広さと温かさに、感動です。

 素晴らしい作品でした。

 ありがとう、、、

       (トーマス青木)



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