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記念館の設計は・・ ;司馬遼太郎記念館・訪問記(5)

090320b
<添付画像>:司馬遼太郎記念館入口通路
(撮影日時) 平成21年2月中旬の早い午後
(天 候) 曇時々晴れ めっぽう寒かった・・


 たいへん遅くなったけれども、書きかけの記事を季節はずれになって書き殴った、、、。

 
 つまり、本日の記事は、
        司馬遼太郎記念館の訪問記なのだ。



090320c

 弓形に、ゆるやかに湾曲した記念館は、福田邸(司馬遼太郎先生の本名)の庭、雑木林を約一分ほど歩いた直ぐ裏庭にある。

    
 記念館入口に通じる湾曲遊歩道にも、今や(もとから?)司馬先生のシンボル『菜の花』の花瓶オンパレード、のどかな早春の日差しを浴びている。 


 ガラス越しに、なにやら小動物の気配がする。 この御仁は、ただの野良猫か? それとも司馬邸専属のガーデンウオッチャーか?
 ウム! どうやら庭木の上部に停まっている野鳥鑑賞中?ならばバードウオッチングを楽しんでいるようだ。

 いかにも「のどか」であるぞ、、、。
 
090320a

 うむ、、、

 うららかな日差しに見えるけれど、記念館通路の大ガラスの外はこの時真冬にて未だ十二分に寒風が吹きすさぶ?そんな平成21年2月中旬、のどかな午後のひと時、姿勢正しく歩み粛々、気分は駆け足的な熱き心境にて、初めて訪れた『司馬遼太郎記念館』の内部に一歩一歩近付いているのだ、、、。 

 さて、
 ちょいと風変わりな司馬遼太郎記念館のこと、司馬先生フアンの方々には既にご承知於きの事、建築家安藤忠雄先生の手になるもの。 

 ええい、面倒だ! 建築のことはよくわからん。 だから、記念館内売店で入手した珠玉:「司馬遼太郎記念館」から記念館設計の経緯をご紹介をさせていただきたい!         shibaryou090423a
   <画像は、トーマス青木の宝物・写真エッセイ集『司馬遼太郎記念館』>

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     -----------------------------------------------

  [司馬遼太郎] 2008年1月1日改訂第二刷発行
  企画編集 財団法人司馬遼太郎記念館
  発行者 福田みどり
  発行所 司馬遼太郎記念財団
       大阪府東大阪市下小阪3丁目11番18号                   
引用転載(p99~p101)

 『創造の原点』
            建築家 安藤忠雄


 発想の原点は、設計依頼を受けたときに見学させて頂いた司馬氏自邸の書斎の裏にそのまま残されていた、膨大な資料文献だった。原稿執筆の際の、参考資料として集められたものだという。その分量は私の想像などはるかに超えた凄まじいもので、生前、司馬さんが何か新しい本を書かれる度に神田の古本屋街から、ある特定のテーマに関する書籍類が忽然と姿を消したという逸話を耳にしたことがあったが、それもあながち誇張ではなかった。司馬さんの書かれた『坂の上の雲』や『菜の花の沖』に綴られた、言葉の一つ一つの重さ、意味深さの理由がこの蔵書の山にある。その無造作に積み重ねられた本の山の向うに、私は司馬さんの無限の創造力を見た気がした。
 司馬さんの遺した文学的遺産を後世に伝える、即ち作家司馬遼太郎の世界をかたちとして遺していくという記念館の主題を考えたとき、私の頭には自然、この膨大な蔵書で囲われて、闇に包み込まれたような、かすなか光の空間のイメージが浮かんできた。それが、設計の始まりだった。
 司馬さんの自邸に隣接する土地を敷地とし、完成した建物は平面的には弓型の形状である。館内へのアプローチは、その建物計上に沿って設けられた円弧状の通路によるが、その道程はあえて司馬さんの自邸の前庭を通るようなかたちに計画している。
 建物に入ると、入り口から奥に行くに従い開口が制限され、闇の中に入っていくような構成となっている。来館者は、まずその薄暗い空間の奥で、ぼんやり光る白のステンドグラスに目を奪われるであろう。ステンドグラスを取り巻く空間は、三層吹き抜けの展示室であり、壁面の全てが書架によって覆われている。書架には、司馬さんが小説の執筆の手がかりとした膨大な量の本が収納される。
 司馬さんが背負ってきた蔵書に囲まれた暗闇に、ステンドグラスを通した光が入り込んでくる、この空間で、司馬文学を生み出した作家の精神世界を表したかった。司馬さんは、行く先の見えない戦後日本の闇に、先人の偉業を通してこぼれおちてくるかすかな光を見出しながら、人々に希望を与えてきた。ステンドグラスには、大きさと形、そしてその表情の全てが異なるガラスがはめ込まれている。その不ぞろいのガラスは、日本人一人一人の、個人のもつ力を最後まで信じていた司馬さんの思いに応えるものであり、それを通して室内に差し込む不ぞろいの光は、司馬さんが求め、探し続けてきた人々の夢と希望を象徴するものである。
 司馬さんは、ふつう庭木としてあまり使われないような雑木を愛したというが、自邸の前庭には、その雑木が全く自然のままに、精一杯に生い茂っている。私にはそれが司馬さんの文学を理解する上での、ひとつの重要な要素であるように思われた。建物の前面を覆うように植えられた植物は、この司馬さんの雑木の森の拡張である。これらが生い茂り、司馬さんの自邸の前庭と一体となったときが、本当の意味での記念館の完成だと私は考えている。
 司馬遼太郎の愛した環境、そして氏が日本中、世界中から集めた書籍という、かけがえのない素材を預かって、いかにしたらそれらをうまく引き立てられる記念館を作れるだろうかと私なりに真剣に考えた。司馬ファンはもとより、より多くの人々に、司馬遼太郎の世界をより深く、より広く知っていただくことに、この建物が寄与できればと思う。
 
                      (以上、無断引用終り・・)お許し下さい・・
          -------------------------------------

 そして読後感?
     ウ~ン・・ 
 安藤先生の文章表現は如何?
                     いかにも建築家的か?
 記念館全体(さらに内部の見学も終えて)から得た私の印象とはいささか異なるものがある。 その相違点とは、安藤先生は「この記念館の建築物」に収まる以前の(真っ暗な大型倉庫に積み上げられていたはずの)膨大な司馬遼太郎参考書籍類を目の当たりにされているからであろうけれども、私にはそれを観ることは既に叶わないのだから、まずはその辺りに第一の違いがあり、第二は「蔵書に対する感性の違い」にあると思う。 (建築データはこちらから・・)
 センス良くデザインされた安藤流書棚(司馬遼太郎記念館内部の書棚のこと)に組み込まれた莫大な書籍を眺めていて、少なくとも私は上記に引用した「安藤先生エッセイ」とは異なる印象を持って記念館を後にした、、、。 <編集後記・トーマス青木> (・続く・・)

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