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遥かなる愛(Part-Ⅱ) by ジェームス赤木

   ― 遥かなる愛(Part-Ⅱ) ―

 (続)俺の青春時代。 大学三年生夏。 あのビアガーデン事件は深く反省し、遊びも自粛。 ひたすらあの日の彼女からの連絡を待つ俺。 一週間が経ったが音沙汰なし。
 (やはりダメか、仕方がない、他を考えよう)
 深追いは俺の主義に反する。黒皮(?)の手帳を取り出す。
 誰にしようかと考えてもその気にならない。 外出する気分にもならず、二階の自分の部屋でダンス ミュージツクを聞きながら、飲めないウイスキーの水割りを一人で静かに飲んでいた。 電話の音が聞こえた気がした。 母が俺を呼んだ。
 「電話よ、感じの良いお嬢さんから」と……
 普段は知らない女性からの電話は取り次がないように言ってあった。
  (彼女だ!)
 慌て過ぎた。 階段をころげ落ちた。 嬉しくてネンザした足の痛みなど問題無かつた。
 「純子です、連絡が遅くなりゴメンナサイ」
  (良かった)
 「パパの監視が厳しく連絡が取りにくかった」と。
  (ヤッパリ、そうか……)
 あの時も俺に対する態度は少し厳しい感じだった。 父親であれば当然か。 久し振りの会話だ。 先日の俺の失敗を素直に謝った。 それでも
 「いいの、私の方が悪い」と譲らない彼女。
 お互いに「自分が悪い」とムキになった。 でも、彼女からの「自分の責任です」との意見に従った。
 「そのかわりに、いいお店を知っているの、おいしいケーキを食べさせてあげるワ」
と彼女の提案があった。 彼女のスケジュールに合わせる俺。デイトの日、時間、待ち合わせる場所をシツカリと約束。 昼の楽しいデイトの始まり。 彼女の女子大の通学路から便利な場所で逢うことにした。 彼女と逢えればどこでも良かった。 早く逢って街の中を二人で歩きたかった。 こんな気持は久し振り。 今日は夏陽だ。 太陽もサンサンと照り舗道も暑そうだ。 (でも、そんなのカンケイナイ)どこかで聞いたようなセリフ。 午後三時過ぎに彼女と再会。 嬉しかった。
 「純子さん、お逢いしたかった。今日はありがとう」と素直に語る俺。
 彼女は名前の通り純情可憐な乙女だ。
  (俺の眼に狂いはない)
 女子大生らしい白いブラウスと黒のスカート。 陽射し避けの黒の日傘。 やさしそうな白い色の顔、落ち着いたお嬢様らしい仕草すべてOK!
 目的のケーキ店へ向かう。 日傘は俺が持つ。 当然彼女は俺の腕に手をかける、ごく自然に。 彼女の嬉しそうな横顔に陽が当たらないように気をつけて。 彼女とのデイトは家庭の事情で昼の時間だけだったが、いつも嬉しそうにニコニコしている笑顔が大好きだった。 ある日、父親が海外出張で留守になるチヤンスが訪れた。 彼女の母親は俺のファンになっていた。 内緒で夜のデイトOKだ。 彼女が喜びそうなコースを選ぶのは俺の役目。高級レストランでディナー、ワインで乾杯。 少し散歩してから、Mダンスホールで彼女のペースにあわせてリード。 意外だった。 彼女はすべてのダンスステツプを知っていた。 社交ダンスまでも。 あとで判つたがピアノを弾くこともOKだった。 時間を忘れ踊りまくる。 生演奏の曲が変わった。 俺の大好きなスローバラードのブルースになった。 しつかりと手を握る。 腰に右手を回し軽く引き寄せる。 彼女の顔が近づいてきた。 眼と眼が見つめ合う。 瞳の奥に何か訴えているような気がした。 気の精か、頬を俺に寄せてきたではないか。 自然にまかせた。 次の瞬間、何か俺の胸の辺りに熱いものが流れてきた。涙だった。 何か俺が気に入らないことをしたのかと一瞬考えた。 心あたりはない。
 「どうしたの、俺、何か悪いことした?」
 俺は彼女の耳元で、ささやくように尋ねた。
 彼女は答えて、
 「こんなに楽しく遊んだのは生まれて初めてなの」と。
  (嬉し涙だ!)
 こんな女の娘(こ)もいたのか?と俺の方が感激した夜だった。 彼女のママとの約束の時間も近ずいてきた。 二曲だけチークダンス。 今日はこれまで。 しつかりと俺の想い出を植えつけた。 少し余韻を残して。 「帰りたくない……」と駄々をこねる彼女をなだめ、そして彼女をタクシーで送る。 自宅では彼女のママが待っていた。 少しだけ時間が過ぎていたのでママに謝る。
 「今日はいいの、どうぞコーヒーでも飲んで帰って」
と、彼女は今日のデイトの報告をママに嬉しそうに話していた。 俺も何か良いことをしたような感じだ。 遅くなりそうなので「俺、帰ります、今日は本当にありがとうございました」と礼を言う。 彼女の瞳は「俺を帰らせたくない」と訴えていたが、次回の約束で納得してくれた。 彼女のママの方が俺を帰したくないような感じは、やはり気の精か?
 夏の夜でも真夜中は少し寒い。 帰り際に、彼女のママがくれた外国製の缶ビール「バドワイザー」を取り出し、歩きながら一気に飲み干す俺は、月を見ながら家路についた。
 ほんとうに楽しかった。 夏の夜の思い出になった……

     「遥かなる愛」(二条冬詩夫作詞・石原裕次郎唄)
    (2) 俺の両手に 埋めた肩が もえりゃお前が 苦しむだけさ
          泣くな 泣くな ああ 
        船が汽笛が 灯台が 明日の別れを つらくする

      <Part-III へ、続く…> 

          <投稿:ジェームス赤木>

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 <『遥かなる愛(Part-I)』は、こちらから参照できます…>

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